香川学会の概要

香川学会設立趣意書

 今日はIT時代とか国際化時代とかいわれているが地球上の人々とコミュニケーションするためには何といっても自分のことをよく知ることである。
 自己のアイデンティティー(ID)を知悉しなければ異文化圏とのフェース・ツー・フェースはできないだろうし、良好な関係はありえないに違いない。
 最近、地域学が各地で産声を上げている。四国にも愛媛学(愛媛大学)があり、東北学(東北工科大学)、大和学(奈良女子大学)、熊野学(湾山高専)などが知られている。香川学は香川大学名誉教授だった故高桑糺氏が提唱、その後、瀬戸内海学あるいは香川学として高松短期大学に引き継がれている。
 同短大の香川学講座は、いまのところ総合講座の形態であるが、さらに分化した歴史、民俗、地質、動植物、気象、人口、方言などの分野にも視野を広げてほしいものである。香川学の主眼は、溜池に象徴される水資源問題があり、遍路文化、観光文化などであり風土という文化環境が大きい。
 明治44年に刊行された名著「瀬戸内海論」は、ジャーナリストだった小西和の著作であり、地域学の一つでもあろう。日露戦争後に政府は、地方改良運動というのを提唱、市町村に長期的視野での地域活性化策を立てるよう指示している。そういう時代背景も視野に入れて読むと一層興味が出る。
 地方改良運動では、町村合併なども推進されているが、90年たった今また合併推進がされている。町村合併一つとっても数字だけでは解決できない問題が潜んでいる。それが風土という問題である。香川県にはかつて農村地帯に散村形態が顕著であったが、これも溜池というものが影響していた。地域学は、その地域の特異性を究めることであり、香川学も香川の特異性を追究していくことが肝要である。
 昭和初期にも、自力更正が叫ばれ、地域研究が盛んに行なわれている。県下で田園都市という住宅地開発が行なわれたのは昭和初期だったことと思い合わすと興味あることである。

 
2001年(平成13年)3月22日
香川学会 会長 木 村  等

香川学会役員

顧 問 木村  等  香川大学名誉教授、元香川大学学長

会 長 三浦 和夫  香川大学名誉教授、元高松大学・高松短期大学学長

副会長 津森  明  高松短期大学名誉教授、高松市歴史民俗協会会長

 〃  山野 善正  (社)おいしさの科学研究所理事長、香川大学名誉教授

理 事 佃  昌道  日本うどん学会会長、高松大学・高松短期大学学長

 〃   長町  博  香川土地改良区相談役

 〃    安川 満俊  写真家、香川学資料館理事

 〃    藤井 洋一  香川民俗学会副会長

 〃    六車 恵一  日本考古学協会会員

 〃    三矢 昌洋  香川県観光協会会長

 〃    芝  昇   善通寺市文化協会顧問

 〃    越智 繁彬  高松市歴史民俗協会副会長

 〃    菅原 良弘  鎌倉芳太郎顕彰会事務局長

事務局長 藤井 雄三  高松市歴史民俗協会事務局長

会 計 大薮 和夫  香川大学名誉教授、元高松大学教授

監 査 松本 豊胤  元四国学院大学教授

 〃   南  正邦  彫刻家、ふるさと研究会副会長


Kagawagaku Society

    香川学春秋第2号
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